2014年のプレスリリース

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SONY FeliCa Networks

2014年7月17日
ソニー株式会社
フェリカネットワークス株式会社

FeliCa Connect 2014 Touch the Future of NFC

新たなビジネスとライフスタイルの創出を目指して
非接触IC技術FeliCa(フェリカ)の最新技術・商品・サービスを披露
- "かざす"ことで創る未来:FeliCa Connect 2014を開催 ―

ソニー株式会社(以下:ソニー)とフェリカネットワークス株式会社(以下:フェリカネットワークス)は、多様化するカードやモバイル端末環境、プラットフォームに対応したFeliCa/NFC ソリューション・サービスの提供により、新たなビジネスとライフスタイルを創出し、非接触IC事業を拡大していきます。
両社は、"かざす未来を描く 2 日間"と題したイベント「FeliCa Connect 2014 ~Touch the Future of NFC」を 7月17日(木)・18日(金) に渋谷ヒカリエで開催します。同イベントでは、非接触 IC カード技術 FeliCa/NFC の最新技術や商品、サービスソリューションを展示して広く皆さまに紹介するとともに、パートナー企業や参加企業との交流を深め、新市場の創造につながる、より強固な協力関係の構築を目指します。

今回、両社は、世界中のスマートフォンに搭載可能で FeliCa サービスの海外展開の加速につながるNFC標準規格準拠の「次世代モバイルFeliCa IC チップ」や電子マネー、ポイントカード等複数の非接触IC サービスを1枚に格納でき、Bluetooth でスマートフォンと通信することでネットワークにつながる進化したカード「インタラクティブ FeliCa カード(参考出展)」等、"かざす"未来を創るデバイスやソリューションを多数展示します。


インタラクティブ FeliCa カード(コンセプトモデル)


次世代のモバイルFeliCa IC チップ(左)、現行の IC チップ(右)

市場背景

近年、モバイル機器市場は、各種スマートフォンに加え、タブレットやウォッチ型・リストバンド型等のウェアラブル端末も登場し多様化の傾向にあります。また、スマートフォンの普及に伴い、SNS(Social Networking Service)※1 等新たなコミュニケーションメディアも広がっています。
こうした中、インターネットを介した企業の販売促進、マーケティング活動として O2O(Online to Offline)※2 やオムニチャネル※3 等の市場も拡大しており、企業は顧客とのつながり方について新たな形を模索しています。

市場動向 - 多様化するデバイス・コミュニケーションメディア

図:多様化するデバイス及びコミュニケーション環境への適応

課題

これまで両社は、事業の拡大を目指し、カードやモバイル端末への対応とあわせて、安心して信頼性の高いサービスを受けられる環境整備に取り組んできました。そうした中で、ICチップの累計出荷数は、カード用IC チップ約 5 億 2700 万個、モバイル用ICチップ 2 億 4500 万個、あわせて 7 億 7200 万個を超えました(2014 年 6 月末時点)。また、パートナー企業との協力関係のもと、交通乗車券や電子マネーから始まったサービスは、会員証やクーポン、コンサート等のエンタテインメントチケット、オフィスや自宅の鍵等の認証分野等、多岐にわたる領域へ約 100 にのぼるサービスが展開されています。

さらに、ソニーの NFC 対応商品は 150 を超え(2014年2月現在)、家庭から職場・公共の場まで、かざして簡単に音楽や映像を楽しむ環境が急速に整備されています。専用デバイスへ搭載されていた FeliCa は、NFC で AV 機器等にも搭載され、進化を続けています。

そして、今後 FeliCa のサービスをさらに多くの皆様にご利用頂き、より広い領域へサービス拡大していくために、国内外の法人顧客からは以下の期待が挙げられています。

  1. 国内外共通の非接触 IC チップやアーキテクャ、各種技術仕様への対応
  2. ウェアラブル機器への対応、そのための IC チップの小型化、低消費電力化
  3. より簡単で負担が少ない、サービス導入のためのソリューション

これらの課題解決に向けてソニーとフェリカネットワークスは取り組みを開始しています。

両社の取り組み

※下記はすべて参考展示です。

1.次世代モバイル IC チップの市場投入(2014 年夏量産開始)

写真:一円玉の上に乗せたチップ

フェリカネットワークスは、日本国内の FeliCa 対応サービスとの互換性と NFC 標準規格への準拠を両立した世界初の次世代のモバイルFeliCa IC チップ(第3世代)を2014年夏より量産を開始することに関して、半導体提供会社である Samsung Electronics Co., Ltd.、株式会社東芝、ソニー株式会社、それぞれと合意をしました。第三世代のチップは、厚さ0.9mm、4.5mm 角サイズで現行品より面積比40%以上の小型化を実現し、スマートフォン他各種モバイル機器へのチップ搭載を一層容易にします。さらに、日本の国内サービスに採用されているFeliCaをはじめ、機器間の相互認証のためにより細やかな仕様策定を行うNFCフォーラム仕様にも準拠、クレジットカードの標準仕様であるEMV仕様にも準拠しています。本チップの市場導入により、通信事業者や携帯電話メーカーは、より多様なモバイル機器への搭載が可能となります。"世界中、どんなスマートフォンでも使える"、"グローバルに使えるFeliCa"としての発展性により、より大きくより広く、サービスに展開できる環境を実現します。

2.ウェアラブル端末向けラインナップの強化(2015年導入予定)

モバイル端末としてスマートフォン以外にもウェアラブル端末が登場しています。それらのウェアラブル端末に付加価値としておサイフケータイの機能を搭載したいという事業者からの要望があります。この要望にお応えするため、IC チップの小型・省電力化の実現に取り組み、2015年内の導入を目指して、チップパートナーとの開発を推進していきます。また、同時に FeliCa/NFC 機能対応ウェアラブル機器やアクセサリー商品の市場を立ち上げるため、パートナー企業とビジネススキームの構築を進め、"おサイフを身にまとう時代"へと進化させます。

3.多機能カードと未来のカードへの取り組み
未来のカード"インタラクティブ・FeliCa カード"(2015年度導入目標)

ソニーは、電子マネーサービスやポイントカードを複数格納でき、Bluetooth による通信機能を備えて、非接触 IC カードでありながらネットワークにつながるインタラクティブな ICカードの商品化を目指します。カードサイズながら、液晶画面やタッチユーザーインターフェースがあり、カード単独で残高や利用履歴の確認ができるほか、カードをスマートフォンと Bluetooth で接続することで、おサイフケータイ以外のスマートフォンユーザーも、このカードを介しておサイフケータイ機能を活用できるようになるのがコンセプトです。また、スマートフォン側で、カードへのバリューチャージや利用履歴確認、サービスの付加等ができるものです。


インタラクティブ FeliCa カード(コンセプトモデル)

多機能カード(2015 年度内のチップ商品化目標)

FeliCa 方式に加え、主にクレジットカードで採用されている非接触 TypeA/TypeB 方式およびクレジットカードの標準仕様であるEMV仕様(接触型および非接触型)をすべて 1チップで対応可能な、多機能 1チップソリューションを 2015年度内に商品化予定です。このチップを搭載した多機能一体型カードにより、既に普及している FeliCa 対応の電子マネーカードと、接触/非接触クレジットカードを 1枚にまとめることができます。世界中の買い物シーンで使えるユーザーデバイスへと進化させます。

図:非接触/接触インターフェイスを持つICカードです

4.O2O、オムニチャネルに対応するソリューションの提供(2014 年度予定)

FeliCaにSNSやBeacon(ビーコン)※4技術を融合させた O2O やオムニチャネル対応ソリューションを提供します。これは、近年注目が集まる O2O やオムニチャネル戦略を推進したい、または電子マネーやクーポン等のサービスを、より簡単にユーザーへの導入、訴求したいという事業者からの要望に応えるものです。

SNSやBeacon機能を活用して、ユーザーをクーポンの配布やポイントの情報サイトへ誘導すると、クーポン情報等がユーザーの携帯電話に搭載している FeiCa IC チップに書き込まれます。サービス提供者は、リアルタイムにクーポン等を発券でき、ユーザーは必要な時にクーポン等を受け取ることができます。また、ユーザーは、クーポンの取得、申請などにあたり、画面登録等の面倒な操作の負担も軽減され、IC チップに書き込みが行われた携帯電話を店頭で読み取り機にかざすだけで、提供されたサービスの利用が可能となります。

なお、O2O やオムニチャネル戦略向けソリューションは、2014 年度中の導入を目指し、パートナー企業とのアライアンスを推進していきます。広告代理店やSI事業者、機器ベンダー等のパートナー企業と連携することで、より導入しやすく、効果的にパッケージ化されたソリューションとして、より多くの企業に提供できるように取り組んでいきます。

5.低価格、小規模システムでのサービス提供を可能にする「リーダライタ・トランザクション」ソリューションの提供(2014 年度予定)

おサイフケータイのサービス導入には、かざした情報を読み取るリーダライター端末が必要であり、店舗数や顧客が多いとその必要数量の端末を用意する必要があります。こうしたサービス事業者の負担を軽減するため、現在国内市場の標準スマートフォンで100%搭載されているおサイフケータイのリーダライター機能を用いて、スマートフォンをリーダライター端末として使うことで、既存のリーダライター端末を設置しなくても、小規模システムでサービス提供を可能とする「リーダライタ・トランザクション」ソリューション」を提供します。これにより、サービス提供事業者と用途の裾野を広げ、新たな市場の創出を図ります。

FeliCaロジック、国内 約5,000万台のAndroidおサイフケータイがRW機能として活用可能、ユーザ保有のFeliCaカードにアクセス可能→新たな市場創出

6.クラウド戦略の強化:HCE(Host Card Emulation)※5 ソリューション提供(2014 年度予定)

最近の注目される技術 HCE を活用し、おサイフケータイサービスを構築するために必要な機能をクラウド側に実装したソリューションの提供を 2014 年度中に実現します。これまでの FeliCa のノウハウ、経験を生かし、クラウドに高い信頼性、セキュリティ機能を加えHCE対応を行い、クラウド戦略を強化します。これは、HCE に対応している Android4.4 以降の NFC 対応端末であれ䜀、国内/海外を意識せずにグローバルでのサービス展開が可能な技術・ソリューションとなります。会員証、クーポン、ポイントなどのサービスを小規模システムでスタートし、市場環境に応じて柔軟に機能を追加していきたい事業者等に向けて提供することで、新規の市場を開拓とサービスの裾野を広げていきます。

7.新たなユーザーインターフェースの模索(FeliCa と他技術との融合)

FeliCa の可能性を更に広げる取り組みとして、Bluetooth を用いた通信により FeliCa の認証を行う研究開発を行っています。おサイフケータイ上で動作するミドルウェアで Bluetooth とモバイルFeliCa IC チップの通信をつなぐことで、通常 NFC リーダー/ライターから行う FeliCa の認証を、Bluetooth 経由で行うことを可能とします。従来同様、リーダー/ライターにかざして FeliCa を利用できることに加え、キーレスエントリー他様々な利用シーンに応じた最適な方法で FeliCa を利用できます。展示ブースでは、この技術の活用例として出退勤ゲートのデモンストレーションを行います。

8.急増するオンライン認証向けに新たな認証ソリューションを提供(2014 年上期導入予定)

オフィスや自宅の鍵としての用途にもFeliCaカードやおサイフケータイが使われています。こうした用途の認証は、カードや携帯と読み取り端末の間でオフラインにて行われます。しかし、業務用パソコンやメールへのログインには、IDやパスワード認証だけでなくトークン※6を用いたり、モバイルサービスを使う際にはSMS(ショートメール)で暗証番号等のやり取りを行ったりといったセキュリティへの配慮が一般化されつつあり、オンラインで二重の本人認証を行う機会が急増しています。このようなオンラインでの本人認証用途に代わって、FeliCa カードやおサイフケータイで本人認証を行う「FeliCa二要素認証ソリューション」を提案して参ります。

本ソリューションは、FeliCa のカードとおサイフケータイのリーダライタ機能との組み合わせや、おサイフケータイの端末固有IDにより認証をするもので、成りすましを防ぎ、ID収集対策等プライバシーに配慮した仕組みもサポートされています。利用者は、従来のオンラインに加えてトークンやSMSを利用した認証よりも手軽な操作で、二重の認証により安心してサービスを利用することができます。


以上のように進化するスマートフォン、次世代カード、ウェアラブル端末など新しいパーソナル・デバイスへ対応を広めながら、お客様と企業をシームレスに"つなぐ"インタラクティブなプラットフォームを創出し、パートナー企業の皆様と、より便利で社会に貢献できる生活インフラの構築を目指します。

  • ※1 SNS(Beacon Networking Service):、インターネット上の交流を通して社会的ネットワーク(ソーシャル・ネットワーク)を構築するサービス。代表的な SNS は mixi、GREE、Mobage、Ameba、Facebook、Twitter、Google+、Myspace、LinkedIn、LINE など。
  • ※2 O2O(Online to Offline):インターネット上(オンライン)から、インターネット外の実店舗(オフライン)での行動へと促す施策のことや、オンラインでの情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影響を与えるような施策。例)ネット上(オンライン)でクーポン等を提供したり、位置情報サービスによって積極的に店舗への来店を促したりすること等。
  • ※3 オムニチャネル:すべて(オムニ)の販路(チャネル)を意味する。実店舗やインターネット上の自社通販サイト、カタログ誌、テレビなど、あらゆる販路やツールを組み合わせた販売環境を実現すること。
  • ※4 Beacon:低消費電力の近距離無線通信技術である Bluetooth Low Energy(BLE)を使ってスマートフォンの位置情報を特定し、ロケーションにあわせて必要な情報を配信する仕組みのこと。
  • ※5 HCE(Host Card Emulation):Secure Element を使わずにスマートフォンを非接触 IC カードとして動作させる技術であり、Android 4.4 からサポートされている。
  • ※6 トークン:セキュリティデバイスの一種で、ユーザーの本人認証を行うためのワンタイムパスワードなどが表示される小型の装置。液晶表示のインジケーターに表示されているワンタイムパスワードなどをログイン画面に入力して使う。二要素認証を行うためのもの。
  • ※FeliCa はソニー株式会社の登録商標です。
  • ※おサイフケータイは株式会社 NTT ドコモ の登録商標です。